訪問歯科を保険で受けるための条件とは

はじめに

現在の日本は高齢化が進んでいますが、生活の質の向上のためにさまざまな取り組みが国や地方自治体で行われています。
その一つとして、高齢者や体の不自由な方などは歯科医院へ自力で行くことが困難ということから、訪問歯科診療が広く行われてきました。
歯科を受診する3分の1もの方が高齢者ということから考えても、高齢者にとって訪問歯科診療の必要性は今後高まってくるのは間違いなさそうです。
ここでは訪問歯科診療を保険で受ける条件についてや、高齢者の口腔ケアの必要性などについてご紹介します。

口腔ケアとは

最近よく口腔ケアという言葉を耳にするようになってきました。
これは医療や福祉の現場において、その必要性が注目され実践されている証拠だと言えるでしょう。
口腔ケアは広い意味でお口が持つさまざまな働き、たとえば咀嚼や嚥下、審美性、唾液の分泌や構音・・などを健康に維持するために必要です。

口腔ケアの重要性

虫歯や歯周病を予防する

最近では口腔環境が高齢者の健康と深く関わっていることが分かってきました。
特に、細菌の塊であるプラークは歯周病や虫歯の直接的な原因だと言われており、口腔ケアによってそれらを綺麗にすることができます。

唾液の分泌を促す

お口の中は常に37度前後に保たれており唾液があって細菌が増殖しやすい環境です。
介護が必要な高齢者はお口の中のケアをご自分で行うのが難しいため細菌が繁殖しやすい状態になっています。
それに、高齢になればなるほどお口の中の自浄作用が低下してしまい、お口の中が不衛生になりがちです。
もし、お口の中の細菌を誤嚥してしまうと、誤嚥性肺炎など高齢者にとって致命的な症状が起きることがあります。
これを予防するには誤嚥を防ぐことも大切ですが、もし誤嚥したとしても誤嚥性肺炎にならないように、お口の中の細菌をきれいに取り除くためにお口のケアを行うことが重要なのです。

全身疾患を予防する

また、口腔ケアを怠ると、敗血症や感染性心内膜炎、虚血性心疾患、誤嚥性肺炎・・などを起こすことがあります。
介護が必要な高齢者は健康な方にとって病気の原因にならないような細菌であっても誤嚥性肺炎などになるリスクがあります。
ですが、適切な口腔ケアを行うことでこういった病気を防ぐことができると言われています。
つまり、口腔ケアとは単純にお口の中のためではなく、全身疾患を防止したり、生命を維持するために必要なことなのです。

訪問歯科診療とは

ある調査によれば、訪問歯科診療について詳しくご存じない方は非常に多いようです。
訪問歯科診療とはその言葉通り、なんらかの精神的身体的理由により歯科医院へ通院できない方に対して歯科医師や歯科衛生士などが訪問し歯科診療や口腔ケアなどを行うことです。

訪問歯科診療を利用するためには

では、具体的に訪問歯科診療を利用するにはどうすればいいのでしょうか?
窓口や依頼方法はさまざまなので、最も身近な方法で相談するといいでしょう。

  1. かかりつけの歯科医院で相談する
    日ごろ受診しているかかりつけのクリニックに電話などで相談するといいでしょう。
  2. 地元の歯科医師会事務局に相談する
    お住まいの歯科医師会では訪問歯科診療や在宅歯科診療などについて相談に乗っています。
    そういった窓口で相談に乗ってもらうといいでしょう。
  3. 都道府県の歯科医師会に相談する
    近くの歯科医師会の連絡先が分からないなどの場合、お住まいの都道府県の歯科医師会に相談してみましょう。
  4. 訪問看護師やケアマネージャーに相談する
    介護や医療にかかわる訪問看護師やケアマネージャーに相談する方法もあります。
    まず診査があり、ケアや治療などの計画を提案してくれます。
  5. 病院の担当看護師に相談する
    かかりつけの病院の看護師や地域医療連携室などに相談しましょう。
  6. 施設のケアマネージャー
    入所している施設のケアマネージャーに相談するといいでしょう。

訪問歯科診療を受ける条件

保険を使って訪問歯科診療を受けるには一定の条件が必要とされています。

通院が困難

高齢や体が不自由などで寝たきりの状態のため歯科医院に通院できないことが前提です。
また、医師による診断書や要介護認定が必要な場合もあります。
ですので、忙しいから通院するのが面倒・・などの理由では利用できません。
訪問歯科診療の対象になるかどうかは歯科医師の判断にゆだねられています。

歯科医院からの距離が半径16キロ以内

基本的に、保険を使って訪問歯科診療を利用するには歯科医院から半径16キロ圏内である必要があります。
医療資源が限られている中、近くに歯科医院があるのにわざわざ遠くから呼ぶことは許されないからです。
さらに、緊急の際に保健施設などと連携するためにも、近い歯科医院を利用することが望ましいかですね。
ただ、特定の事情がある場合にはそれ以上離れた歯科医院を利用してもいいことになっています。

訪問歯科診療の費用

訪問歯科診療を利用するにはお口の中の状態や治療内容によって差があるものの、基本的に訪問診療料が治療費に加えられます。
介護保険に加入しており介護保険を使う場合は一定の介護保険料がかかり、ほかにも制度内で認定される範囲内で交通費などの実費が発生することもあります。
なお、訪問歯科診療は医療保険と介護保険の2つが適用されることになっています。

医療保険

医療保険とはいわゆる健康保険のことで、この費用については点数で表されることになっており、1点につき10円で換算されています。
なお、負担の割合や所得や年齢で決まってきます。

介護保険

次に介護保険についてですが、介護認定を受けた40歳以上の方が対象になる保険のことです。
ただ、40~64歳の方は特定の疾患が原因で介護認定が必要になります。
また、要介護度によって月当たりの上限が決まっており、これについては地域によって違う場合もあるので市町村の窓口で聞いてみるといいでしょう。

まとめ

ご自分やご家族が日ごろからかかりつけの歯科医院を持っておくことはいざ介護が必要になった時、治療やケアをスムーズに進めるのに重要です。
ここでご紹介した訪問歯科診療を保険で受ける条件について理解していただき、利用する際のご参考になさってください。