訪問歯科が必要な高齢者の口腔内の状態とは

はじめに

口腔ケアには機能訓練のためのケアと、清掃のためのケアの2つがあります。
訪問歯科が必要な高齢者にとって必要な口腔ケアの目的は主にお口の機能の低下を防止すること、お口の中の乾燥を防ぐ、誤嚥性肺炎の防止だと言われています。
では、訪問歯科が必要な高齢者のお口の中の状態はどういったものなのでしょうか?
また、高齢者が口腔ケアを怠るとどうなるか・・についてもまとめてみます。
高齢者の方も高齢者でない方も、今後の口腔ケアのご参考になさってみてくださいね。

高齢者の方が口腔ケアを怠ると

噛む回数が多いとさまざまな効果がありますが、お口のケアを怠るとどういった
悪影響があるのでしょう。

認知症になりやすくなる

ある調査によれば、歯の残存数が多い方や少なくても入れ歯などでしっかりと噛んでいる方はそうでない方と比べると、認知症の発症のリスクが低いということが分かりました。
歯をなくしてしまっても入れ歯を使っていない人の場合や、歯が20本以上残っている方と比べると、そうでない方と比べて認知症を発症する割合が1.9倍と言うから驚きです。

歯周病になりやすい

口腔ケアを怠ると歯周病にかかりやすくなると言われています。
歯周病かどうかは歯周ポケットがあるかどうかで確認できます。
この歯周ポケットとは歯と歯ぐきの境い目にあるポケットのようなところですが、これがある方は加齢につれ歯周病になるリスクが上がると言われています。
歯周病が悪化すると歯を失うだけでなく、敗血症という病気になることがあり、この病気は炎症が起きているところから血液中に病原体が侵入し深刻な全身症状を引き起こします。

誤嚥性肺炎になる

誤嚥性肺炎とは誤って食べものが気管の中に入ったり、唾液を飲み込む時にお口の中の細菌が肺へ入ってしまうことで起きる病気です。
また、高齢者は寝ている間などに唾液を誤嚥してしまうため、お口の中の細菌が気管に入り誤嚥性肺炎になることもあります。

唾液の分泌が低下する

お口の中が食べもののカスなどで不衛生になると、唾液が出づらくなりお口の中が乾燥してきます。
ですので、お口の中を歯ブラシなどを使い刺激し唾液腺の働きを促進し分泌量を増やすようにしましょう。
唾液には虫歯や歯周病を防止するだけでなく、お口の中の粘膜を保護する役割もあるため、唾液の量を増やすことは大変重要なのです。

感染症になりやすい

お口の中の細菌には食中毒や表皮感染症などを起こす菌や、呼吸器感染症を起こす可能性のある菌など、恐ろしい菌がたくさんいます。
お口のケアを怠ると、お口の中がそれらの菌でいっぱいになり感染症や肺炎になりやすくなったり、発熱しやすくなると言われています。

転びやすくなる

意外と思われるかもしれませんが、お口のケアを怠ると転びやすくなると言われています。
歯が19本以下で入れ歯を使っていない方はそうでない方と比べて、転倒のリスクが2.5倍にもなると言われています。
転倒してしまうと、そのうちの1割のも方は骨折し、その結果介護が必要になってしまうこともあります。
特に、下半身を骨折してしまうと、寝たきりになってしまうこともあるので注意しましょう。
実際に、要介護の方の1割の方は骨折や転倒が原因だそうです。

訪問歯科が必要な高齢者の口腔内の状態

歳を取ると全身にさまざまな変化が起こりますが、お口の中も例外でないでしょう。
訪問歯科が必要な高齢者のお口の中にはさまざまな問題があると言われています。
たとえば、どういった問題があるのでしょうか?

  1. 自浄作用の低下

    お口の中には自浄作用というものがあり、唾液の効果で歯や粘膜、舌などに付着した細菌や汚れをきれいにし、清潔に保ってくれています。
    ですが、全身の機能が低下して唾液の分泌量が減少している高齢者のお口の中は自浄作用も落ちているため、意識的に清潔にしておかねばなりません。

  2. 歯周病や虫歯が多い

    加齢により歯ぐきが下がってしまうと、歯の根元が露出してしまいそこから虫歯になりやすくなると言われています。
    さらに、高齢者のお口の中は上で書いた通り自浄作用が低下しているため唾液できれいになるはずの細菌が繁殖してしまい、歯周病になりやすくなります。また、加齢によって免疫力が低下することも歯周病や虫歯になる原因だと言われています。

  3. 入れ歯や虫歯の治療痕が多い

    高齢者は長く生きているのでその分虫歯の治療痕や歯周病になった経験が多いのは当然です。
    また、歯周病によって歯を失ってしまい入れ歯で生活している方も多いはずです。
    詰めものや被せものをしている方はその下で虫歯が進行してしまっていることもあるので、入れ歯と粘膜との間で細菌が増殖しやすくなっています。

  4. 味を感じづらい

    人間の下には味蕾という器官があって、そこで味を感じ取っていると言われています。
    ですが、高齢者はお口の中の自浄作用が落ちているので舌に舌苔が付きやすくなっており、味が感じづらくなったり、味覚が変化してしまうことがあります。
    さらに、食生活が偏っている場合には栄養不足になるため味覚障害になりやすいです。

  5. ドライマウス

    高齢者は服用している薬の影響や咀嚼力の低下によって唾液の分泌量が低下します。
    唾液にはお口の中をきれいにする効果があるので、ドライマウスになると歯周病や虫歯になったり、細菌が繁殖することで口臭が起きたりします。

まとめ

訪問歯科が必要な高齢者のお口の状態についてお分かりいただけましたか?
高齢になると、咀嚼力や飲み込む力が減退するのは当然ですが、口腔環境についての正しいケアを行うことでずっと健康を保つことができるはずです。
ただ、高齢で寝たきりなどの場合にはクリニックで診てもらうのは難しいでしょう。
そういった場合には訪問歯科を利用することをおススメします。
他人にお口の中を触られるのは嫌かもしれませんが、そういった場合には無理やりではなく少しずつお口のケアに慣れてもらうようにしましょう。
口腔ケアによってお口の中が清潔になり機能が向上すれば、食事の楽しみや会話が楽しくなり全身や心まで健康になるはずです。
高齢者の生活の質を向上させるためにも、ぜひ口腔ケアに気を配ってあげるようにしましょう!