目次
はじめに
高齢化社会が進む中で生活の質の向上のため行政はさまざまな取り組みを行っていますが、その中でも高齢者などの歯科医院へ行くのが困難な方のために積極的に行われているのが訪問歯科診療です。
歯科医院を受診している方の3分1の方は65歳以上と言われていることから見ても、高齢者の歯科診療の必要性は間違いなく高まってきていると言えるでしょう。
これからますます必要性が高くなるであろうこの訪問歯科診療を選ぶに際、どういったことにポイントをおけばいいのでしょうか?
他にも訪問歯科診療について詳しくご紹介しますので、ぜひ読んでみてくださいね。
高齢者の口腔ケアの重要性
では、高齢者の口腔ケアの重要性とどういうものなのでしょうか?ここでは具体的な口腔ケアの重要性についてご紹介しましょう。
唾液の分泌を促す
お口の中が食べもののかすや細菌などで不衛生な状態が続くと、唾液が出にくくなるためお口の中は乾燥します。
口腔ケアによってお口の中をきれいにすると、唾液の分泌が促進されますし唾液腺を歯ブラシなどで刺激することによって働きがよくなり、唾液の分泌量が増えます。
唾液の作用には歯や口の粘膜を守ったり、歯周病や虫歯を予防する作用があるため、唾液の量を増やすことは大切です。
認知症予防
お口を開けたり閉じたりして噛んで食事することは脳に刺激や酸素を与えるので、中枢神経を活発にし認知症を予防できます。
ある調査によれば、20本以上歯が残っている方と比べると歯も入れ歯も使用していない方は認知症になる危険性が2倍近くにもなるそうです。
感染症を予防する
お口の中の細菌には感染症や食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌や呼吸器系疾患の原因となる肺炎桿菌などがあるため、きちんと口腔ケアを行わなければお口の中に菌が増えてしまい、感染症や肺炎になることがあります。
口腔ケアには感染症や発熱を予防する役割も果たしているのです。
訪問歯科とは
では次に、訪問歯科とはいったいどういうものかご紹介しましょう。
訪問歯科とは歯やお口のことでトラブルがあっても歯科医院に通院が困難な方を対象としたもので、歯科医師や歯科衛生士が施設や自宅に来て診療をしてくれるという画期的なサービスです。
細かく分類すると、歯が急に痛み出したり、入れ歯が合わなくて困るなどの方のために訪問診療を行うものを往診と呼び、定期的な日時を決めケアや治療を行うものを在宅診療と呼んでいますが、一般的に二つを合わせて訪問歯科と呼んでいます。
訪問歯科で行われること
訪問歯科では通院と同様のほとんどの診療を受けることが可能です。
特にその中でもよく行われていることと言えば次のようなことが挙げられます。
- 入れ歯の作成、調整、修理
- 歯周病や虫歯の治療
- 口腔ケア
- 嚥下障害のリハビリ
などですね。
訪問歯科診療の費用
保険やお口の状態によって違いますが、一般的に医療保険での自己負担額は次のようになっています。
介護保険を使った場合は医療保険の自己負担金の他に介護保険での負担金が月々350~2,400円程度かかってきます。
医療保険の自己負担金が1割の方の場合、虫歯治療は1,500~4,000円程度で、入れ歯を作ると総額10000~18,000円程度かかると言われています。
訪問歯科の選び方
最近では歯科医院の数も増えており、コンビニエンスストアより数が多くなっているそうですが、まだ訪問歯科診療に対応可能なクリニックはそう多くはありません。
さらに、その中の歯科医院からこれというクリニックを選ぶのは難しいでしょう。
訪問歯科診療の対象者は高齢者や障がいを持つ方も多いため、慎重にクリニック選びを行いたいものですね。
ここでは訪問歯科診療の選び方のポイントをお教えしますので、どうやって選べばいいのか分からないという方はぜひご参考になさってみて下さい。
親身になって相談に乗ってくれる
歯科診療を受けるのはどんな人でも緊張するもので、訪問歯科診療でもそれは同じなので不安を感じずに診療を受けるには診療前後の説明がしっかりしており、丁寧に疑問に答えてくれる歯科医院がおすすめです。
治療の技術は当然ですが、親身になって相談に乗ってくれる歯科医院だと安心して治療が受けられますね。
訪問歯科診療の経験が豊富
訪問歯科診療ではほとんどの場合高齢者や障がいを持つ方の診療を行うので、訪問する歯科医師や歯科衛生士は歯科分野だけでなく介護の知識がある程度必要です。
もし、診療の際に何か合った場合には介護知識が豊富なスタッフであれば適切な対応が可能です。
長年にわたって訪問歯科診療を行っている歯科医院なら安心して任せることができます。
訪問歯科診療用の機材が充実している
訪問歯科診療の分野では歯科医院で使われているような大きな機材を持ち運ぶことはできませんので、訪問歯科診療専用の機材がどの程度揃っているかが訪問歯科を選ぶポイントになると言ってもいいでしょう。
歯科医院で受けられるのと同程度の歯科診療を受けるには訪問歯科診療専用の機材を持っているクリニックがおすすめです。
経験豊富でコミュニケーション上手
訪問歯科においてはさまざまな場所で全身の状態もさまざまな人に対して診療を行う必要があるので、経験が豊富でコミュニケーション上手な歯科医師や歯科衛生士だと安心できます。
たとえば、介護施設や事業所のイメージや口コミなどを聞いてみるのもおすすめです。
まとめ
歳を取ると噛む力や飲み込む力が衰えてしまうのは当然ですが、お口の中の環境は正しい口腔ケアでいつまでも健康を保つことが可能です。
他人に自分のお口の中を触られたり、見られたりすることに抵抗があって口腔ケアを嫌がるお年寄りもいらっしゃいますが、そのような場合にははじめから無理に行うのではなく、口腔ケアを少しずつ慣れてもらうように工夫しましょう。
お口の中が常に清潔に維持できてもとの機能が回復すれば食事の楽しみや正常な味覚が回復するため、体だけでなく精神的にも健康になる手助けができます。
高齢者の生活の質を向上させ、ずっと元気に生活してもらうためにも訪問歯科診療の役割は大きいです。
もし、訪問歯科診療を受ける必要がある場合にはここでご紹介したことを参考になさってみて下さいね!