認知症患者さんも安心の訪問歯科診療

はじめに

訪問歯科診療とはこれまで医療機関で患者さんを診療していた歯科医師などが自宅や施設などを訪問し、通院が難しい高齢者の方の歯科診療を行うものです。

最近ではこういった訪問歯科診療を行うクリニックが増えており、高齢者や体の不自由な方にとって大変ありがたい存在だと言えます。

ここでは認知症の方も安心できる訪問歯科診療について詳しくご紹介します。

口腔ケアの重要性

介護が必要な状態になってご自分でお口のケアができなくなると、お口の中の状態が悪化するため、生活の質が低下します。

高齢になり要介護や認知症になった場合、歯周病や虫歯、ドライマウスなどでお口の機能が落ちると食欲も落ちて低栄養状態になり、免疫力が落ちてしまいますが、口腔ケアでこれらを防止することができます。

訪問歯科とは

そもそも訪問歯科とは歯科治療が必要にもかかわらず、さまざまな事情によってクリニックへ通院できない方のために歯科医師などが訪問して診療を行うものです。

急に歯が痛みだしたり、お口のケアが必要な場合などに往診して診療を行ってくれます。

訪問歯科を利用できる人とは

訪問歯科は希望する人全員が受けられるものではなく、治療したいけれど通院が難しい方を対象としているので、通院が面倒だからとか時間がないなどの理由では利用することはできません。

具体的に言いますと、介護を受けている高齢者や認知症の方、体が不自由で通院できない方などと定められています。このような方に対して自宅近くにクリニックはあるものの通院できない方が対象です。

さらに、訪問する先がクリニックから半径16キロ圏内にあることが条件です。

もし、訪問歯科診療を利用したい、どういった治療ができるのか不安な方はかかりつけのクリニックで聞いてみるといいでしょう。

訪問歯科診療を受ける判断基準

よく介護する方などからどういった場合に訪問歯科診療を受けられるのか分からないということを耳にします。

介護が必要な方の歯科疾患には虫歯や入れ歯の不適合、歯周病やドライマウスなどがあり、介護状態になって1年以内が最も発生する確率が高くなると言われています。

その理由は全身疾患を発症してから病院で救命措置を行っている間に入れ歯が外され、お口の中のケアが行いづらくなるためでしょう。

なので、退院後にそれまで使用していた入れ歯が合わなくなったり、飲んでいる薬の副作用によってお口の中の乾燥がひどくなるなど、お口の中の疾患によって食べづらくなり体重が減ってしまうことも多いです。

在宅医療を行っている患者さんのうちお口の機能に関係する疾患としては認知症や脳血管障害、パーキンソン病などが挙げられます。

患者さん本人がお口の中の不具合や痛みを感じて訴えられれば、訪問歯科診療を受けることが可能です。ただ、問題となるのは脳の言語中枢障害によってご自分のお口の中の不具合や痛みについて気づかない、気づいていたとしても伝えられない方の場合です。

介護する方がどういった場合に訪問歯科診療に依頼すればいいのか分からないというのはこういったケースが多いでしょう。

こういったことは歯科医師でないと判断ができないので、痩せてきた、食べる量が減ったなど不安なことがあれば、介護する方がお口の中をよく観察し歯科受診が必要かどうかを判断しようとするより、クリニックで検診を受けることが大切です。

最低でも年に一度はお口の中を検診することが重要です。

認知症とは

訪問診療が必要となる方に多くみられる、認知症について詳しくご説明します。

認知症とは体や脳の疾患が原因で判断力や記憶力に障害が起こってしまい、通常の社会生活が送れなくなってしまった状態のことです。

認知症の初期症状で多いのはもの忘れですが、それ以上の症状が起こることもあります。認知症のほとんどの方は脳血管性認知症かアルツハイマー型認知症のどちらかだそうです。

認知症の症状は主な症状と、それによって起こる周辺症状とがあります。

主な症状には判断力の低下と記憶障害があり、これらは必ずと言っていいほど現れる症状で人によっても差があって、不安になったり、怒りっぽくなったり、異常行動を起こすことなどがあります。

たとえば、同じことを何度も聞いたり言ったりする、置き忘れやしまい忘れが多い、すぐ前のことも忘れてしまう、ガス栓や蛇口を閉め忘れる、今いるところやいつなのか分からないなどが挙げられます。

訪問歯科のメリット

歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設などに来てくれることでのメリットは患者さん自身が通院しなくていいだけではありません。

たとえば、入れ歯を作成した場合に歯科医師などが患者さんの食生活の場面などを見られるのできめ細やかなケアができます。

また、お口のケア法を指導する場合、通院が難しい方の全身の健康状態はもちろんのこと介護する方がどの程度関われるかが重要なポイントになりますが、訪問歯科診療なら通院が難しい方の生活状況や介護状況が把握しやすいため、最適なお口のケア法を提案することができるのです。

訪問歯科の診療内容

入れ歯の作成や調整

ゆるんで落ちてしまう入れ歯や、痛くてかめない入れ歯や食べもののかすが挟まるような入れ歯を修理や調整してくれたり、新しく作ってもらうことができます。

虫歯の予防や治療

虫歯になってしまっている場合は治療を行い、詰めものや被せものを行います。また、虫歯を予防する処置なども行います。

歯周病の治療や予防

歯石を取り除いたり、ブラッシングなどを行います。

誤嚥性肺炎の予防

ブラッシング指導を行ったりすることで高齢者に多い誤嚥性肺炎を防止します。

摂食や嚥下に関する指導

食事の際などにむせてしまうことで飲み込むのが不自由な方がいます。そういった方のために食べやすい食べ物の形や姿勢などを指導します。

まとめ

いかがでしたか?

認知症の方でも安心の訪問歯科診療についてまとめてみました。

高齢者にとってお口のケアは非常に重要で、お口の中が健康な状態であれば日ごろの生活で食事が楽しめるはずです。

さらに、認知症や誤嚥性肺炎を防止することも可能だと言われています。

これまで訪問歯科についてあまりご存じなかった方も、ここでご紹介したことを参考にしていただきいざという時に役立ててみて下さい。