目次
はじめに
最近、歯の健康は全身の健康と深い関係がある・・と言われるようになり、お口の健康について関心を持つ人が増えました。
特に、歯周病や虫歯などが全身の健康状態に影響があることや、逆に体の健康状態がお口の中の状態に与える影響についての関心が高いようです。
中でも、生活習慣病の一つとして知られる歯周病については循環器や心臓疾患、糖尿病などと深い関わりがあることが解明されつつあります。
お口の中を清潔にして虫歯や歯周病などを予防し、治療後は適切なメンテナンスを行うことこそが全身の健康状態を良好にすることにつながります。
生涯健康で過ごすためにも歯と全身の関係について知っていただきたいです。
ここでは歯が健康であることが全身に与えるメリットなどについてお教えしましょう。
歯をなくす原因は虫歯と歯周病
われわれの生命活動は当然食べることにより支えられていると言えます。
この食べるために必要不可欠なのが歯です。
ですが、歯の寿命は平均寿命が長くなった今それに追いついているとは言えません。
この歯をなくしてしまう原因には虫歯と歯周病がありますが、特に歯周病は心臓病や糖尿病と同様生活習慣病と言われています。
さて、ではわれわれ日本人は歯周病にどの程度かかっているのでしょうか?
年齢で見ると、歯ぐきに炎症がある人は55~64歳が最も多くなっており、84.6パーセントにも上ります。
高齢者の数値が下がっているのは歯をなくしてしまっている本数が多いからでしょう。
さらに注目すべきことは若い人の歯ぐきについてです。
5~14歳の33.4パーセントもの人に歯ぐきの炎症がある・・という結果になっています。
これを見ると歯周病は何も中高年だけの病気ではなく、小さい頃から予防する必要のある病気だと言えます。
成人の8割もの人がこの歯周病にかかっているのにそれを自覚している人や、どの程度の歯周病なのかきちんと分かっている人はあまりいないようです。
では、歯周病の進行過程をご説明しましょう。
まず、歯肉炎では歯ぐきから血が出たり、たまに腫れたり、歯ブラシに血が付く程度だと言われています。
初期段階になると歯周ポケットができ歯周組織が破壊され始めます。
また、歯が浮いたような感じのこともあるようです。
中期まで進んでしまうと食べ物が歯にはさまりやすくなったり、歯ぐきがぶよぶよしたり、痩せた感じになったり、硬いものが噛みづらくなる・・などの症状が起こります。
さらに、重度にまで進んでしまうと歯槽骨がなくなってしまい歯根部が露出し始め、最終的には歯がぐらついて抜け落ちてしまうのです。
歯周病の原因とは
では、歯周病の原因にはどういったものがあるのでしょうか?
歯周病はプラークによる細菌感染症でお口の中には数百種類もの細菌がいると言われており、その中の20種類程度が歯周病と関係しているそうです。
さらに、歯周病はこのプラーク以外にも先天性のある遺伝疾患や糖尿病、食生活や精神的ストレス、喫煙などの環境因子とも深い関係がある病気です。
プラークが歯に付く量は補てん物の不具合や歯石の沈着の程度などにより変わってくるため、どの人も同じ進み方とは言えません。
つまり、歯周病の進み方には個人差があり、先天的な因子に後天的な因子、などが深くかかわっていると言えます。
歯周病と糖尿病の関係
歯周病はもはや国民病と言ってもよく、若い人でも多く見られる病気です。
この歯周病は糖尿病と深くかかわっていると言われていて、糖尿病の合併症に歯周病があることは広く知られるようになりました。
ですが、最近歯周病が糖尿病を悪化させることも分かってきており、歯周病と糖尿病は悪影響をお互いに与え合う関係だということになりますね。
歯周病と脳梗塞の関係
他にも歯周病が全身の健康へ与える影響があります。
それは脳梗塞で、歯周病菌の刺激により血管の中にプラークができてしまい血液の通る道が狭まります。
そうなると、血管が詰まってしまい、脳梗塞や動脈硬化などの病気のリスクが高まると言われています。
特に、日ごろからコレステロール値や血圧が高い方は歯周病を予防しておく必要があります。
歯と骨格の歪みの関係
さて、虫歯などが原因で歯がなくなってしまうと全身の状態はどうなるのでしょう。
1、2本程度なら歯をなくしてしまってもそう問題ないのでは?と考える方が多いでしょうが、歯は1本なくなるだけでも全身にかなり負担を与えると言われています。
1本歯をなくしてしまうとその周りの歯にかなり負担がかかってしまい、噛み合わせにずれが起こります。
このずれが全身のバランスを崩す原因となり、骨格がゆがんでしまい肩こりや頭痛などが起こることもあります。
歯と消化器官の関係
虫歯や歯周病になるとものをしっかりと噛めなくなってしまいます。
そうなると、あまり噛まないまま飲み込んだり柔らかい物ばかり食べたりするようになります。
すると胃腸などの消化器官に負担がかかってしまうのです。
胃は食べ物を溶かす器官ですが、歯で細かくなった後の食べ物です。
つまり、虫歯や歯周病になると歯できちんと細かくならないまま胃に運ばれてしまうので、うまく消化吸収が行えなくなります。
消化器官が弱ってしまうと他の内蔵にも負担がかかり弱ってしまいます。
歯と認知症の関係
ものをよく噛むと頭がよくなると聞きますが、食べ物を噛むことでの刺激が血行を促進し脳を活性化させるためです。
つまり、高齢者でも歯が多く残っている人の方が認知症になりにくいと言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
お口の中が健康で歯周病にかかっていないと、さまざまな病気にならずに済みます。
また、歯が全て健康な状態であれば頭痛や肩こりに悩まされるリスクを軽減できます。
さらに、よく噛んで食べることによって消化器官に負担をかけずに済み、認知症などを防止できるわけですね。
つまり、歯の寿命を延ばすことによって明るく健康的な生活を送ることができるのです。
歯は全身の健康のために大切なもの。
日ごろのケアだけでなくクリニックで定期的にメンテナンスを受けていただき、いつまでも歯を大切にしてくださいね!