目次
はじめに
訪問歯科とは介護が必要な高齢者の方がご自宅や施設などで歯科診療が受けられるものです。
介護が必要な高齢者のほとんどはお口の中になんらかのトラブルを抱えているにもかかわらず、歯科医院に行けないことから受診することができない場合が多いです。
歯科治療をはじめお口の機能を維持し管理することは食べること以外にも生活の質を向上することに大きく関わっていることが分かっています。
信頼できるかかりつけのクリニックなどに相談して、通院が難しい場合でも治療をあきらめないようにしましょう。
ここではそんな訪問歯科治療を受けられる人とはどんな人か、訪問歯科の治療について詳しくご紹介します。
高齢者のお口のケアの重要性
・誤嚥性肺炎の予防
嚥下機能が落ちてしまうと、食べものや唾液が気管内に入ってしまうリスクがあります。この時に、肺に細菌が入って起きるのが誤嚥性肺炎という疾患です。
お口の中の細菌や汚れを取り除くことが誤嚥性肺炎予防に繋がります。この疾患は高齢者の命にも関わることがあるため、しっかりと予防するようにしましょう。
認知症予防
お口を開けたり閉じたりして咀嚼して食べることは脳に刺激や酸素を与えられるので、中枢神経を活発にし認知症予防につながります。
4年間にわたって65以上の健康な方を行った調査では、歯が20本以上残っている方と比べると、歯がなくなり入れ歯も使っていない方は認知症になる危険性が2倍近くにもなるそうです。
お口の機能の低下を防止する
高齢者の方は噛む、飲み込む、話す、呼吸するなど、お口の機能全体が低下しやすいと言われています。お口の機能が落ちてしまうと栄養が十分に摂れなくなってしまい、摂食障害や免疫力低下につながるため注意が必要です。
訪問歯科とは
そもそも訪問歯科とは普段は医療機関で患者さんを診察している歯科医師や歯科衛生士さんなどが通院が難しい方のご自宅や施設などに行って歯科診療を行うことを言います。
介護が必要な高齢者にとって大変心強い存在となっており、これからどんどん普及していくでしょう。
訪問診療の重要性
訪問歯科の対象者は通院が難しい方で、介護が必要な高齢者の方はお口の中を診察してもらいたくても体が不自由なので通院できないことが多いです。
ですが、病気や障害がある方の多くがお口のケアを行いづらく治療が必要なことがほとんどです。訪問歯科診療を受けたことで長年にわたるお口のトラブルを解消できた人も少なくありません。
通院が困難な方もお任せください
基本的に訪問歯科診療で行われている治療内容は一般的な歯科医院で行われているものと同様ですが、治療時の環境は制約があります。さらに、歯科医師が患者さんの全身の状態を把握するのに入院時の医師やかかりつけ医などと外来診療の以上に密接な連携が必要となります。
大切なことは外来での受診が難しい場合に治療を受けることを本人やご家族が諦めないことでしょう。
入院する際にかかりつけのクリニックがある方でも入院から施設へと入所する際などにその関係が途切れてしまって、退院後かかりつけの医師と歯科医との連携がうまくとれていないことから、お口の中の状態が悪化してしまうことが多いです。
そうなると、ますますお口の中の状態が悪くなるという悪循環が起きてしまいます。
在宅で療養している方のお口の中のトラブルには虫歯による痛みや歯ぐきの腫れ、入れ歯の不具合や口内炎などがあり、これらのほとんどは訪問歯科診療で対応可能です。
お口の中のトラブルは食事の意欲の低下につながり、介護が必要な高齢者のお口の状態の悪化によって誤嚥性肺炎の原因になることがあるため、定期的にチェックをすることが大切です。
また、咀嚼や嚥下障害が見られることが多いため、機能が低下しているのを早期発見、対応することが大切です。さらに、終末期にもお口で最後まで食事するための対応することはその方の生きる活力を高められます。
訪問歯科のメリット
施設や自宅を訪問してお口のケアや歯科治療を行う訪問歯科診療ですが、歯科医院で行われているほとんどの治療が受けられます。
訪問歯科診療だと通院が難しい方の介護や生活の状態が分かりやすいため、より適切なお口のケアを提案することができます。
お口のケアを指導する場合には介護する方がどの程度関われるのか、患者さん自身の全身の健康状態などが大切になってきますので、よく相談しながら治療やケアを進めましょう。
入れ歯を作成した場合に歯科医師が直接患者さんの食生活の場面を見られるので、よりきめの細かい調整が可能になります。
訪問歯科診療では通院が難しい患者さんの介護や生活の状態を把握しやすいため、よりお口のケアを行いやすいのがメリットです。
訪問歯科診療の対象者とは
訪問歯科診療を受けられる方とはどういった方なのでしょうか。
ひとりで歯科医院に通うのが困難で、自宅や施設が訪問歯科を行うサービス提供地域内であることが対象で、これは半径16キロ以内と決められています。
この通院が困難な方とは歯科医師などが通院が困難と判断した方のことで、介護の度合いによって線引きはないようですね。もし、診療した後に行政によって対象者ではないと判断された場合であっても、追加で請求されることはないので安心しましょう。
高齢者以外にも統合失調症や認知症、パーキンソン病、リウマチ、脳梗塞・・などの方で療養中、リハビリ、障害を持つ方が利用できます。
歯科医院に通うのが難しい方という決まりはありますが、通院が困難という医師の診断書などは必要ありません。
歯科や口腔外科がある病院に入っている方は受けることができませんので注意しましょう。
まとめ
患者さんやそのご家族が日ごろからかかりつけのクリニックを持っていることはいざ介護が必要になった時ケアや治療を進めるのに大変重要になります。通院している時からのクリニックとの信頼関係を大切にしましょう。
訪問歯科を利用される場合には、まずは対象者の条件を満たしているかを確認し、歯科医院に相談しましょう。